滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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前回の投稿のとおり、子どもたちをキャンプに連れて行く仕事をしていたため、自分の研修も兼ねて、兵庫県野外レクリエーション指導者協議会などにいらっしゃった、「mottoひょうご」の「栗木剛」さんのお話をよく聞いていました。
その中で印象に残っているのが「家に魔法使いがいる話」と「生活の中での経験の有無」についての話です。
キャンプで子供たちに入浴を指示すると、男の子の何人かが手ぶらでお風呂に走り出します。
タオルや着替えを持っていないことを指摘すると「そういえば」という顔をしますが、何をどう準備すればいいのか分からずマゴマゴするそうです。
ちなみに弟妹がいる女の子は完璧に過不足なく準備してお風呂に向かうことから、栗木さん達の間ではそういう女の子を「Missキャンプ」と呼ばれていたそうです。
栗木さんは男の子達がなぜ準備出来ないのかといえば、家の中に魔法使いがいるからだ、と説明されます。
キャンプ場だけでなく自宅でも男の子達は、何も持たず手ぶらでお風呂に駆けだしていき、服も適当に脱ぎ散らかしていきます。
ところがお風呂に入っている間になぜか脱いだ服は洗濯カゴに入り、脱衣カゴには着替えが準備されています。
母親という魔法使いが全て準備してしまうのです。
男の子達は、片付けも着替えの準備も経験しないため、一人になるキャンプでマゴマゴしてしまうというわけです。
また、キャンプの朝食時の簡単なゲームで、子供たちの口に梅干しを一つずつ入れ、実と種を口の中で分けて、種飛ばしゲームをしたそうです。
多くの子供たちが次々に種を飛ばす中、モゴモゴと口を動かしたままで、種を飛ばさない子がいました。
聞くと口の中で実と種を分けた経験がなく、オニギリの中の梅干しはいつもあらかじめ種が抜かれていたそうです。
カートンドッグを作るため、魚肉ソーセージを渡し、歯でナイロンの先を噛みながらキリキリと回してナイロンを破るように指示すると、やはり経験したことがない子が途方に暮れるそうです。
栗木さんは、こうした子を出来ない子やダメな子だとは言いません。
時代の変化の中で、以前なら誰もが経験して当たり前だったことを、経験していないだけなので、丁寧に伝えて経験させていけば良い、と言います。
また、そうして周りが出来るのに自分だけが出来なかったことで、周りの当たり前の水準を知り、程よいショックを受け、その後の行動に変化が見られるようになるそうです。
職場でも年長者が若い子が出来ないことを指弾しながら、「当たり前だろう」「普通のことだろう」「常識だろう」と言います。
でも、それは言っている人の常識なだけで、全ての人の常識ではないのです。
知らない人がいたら、先回りしてやってしまうのではなく、丁寧に伝えてあげればよいだけの話です。
あなたも、子どもや部下・後輩に対して、経験させる手間を惜しんで、魔法使いになってしまっていませんか?