小手先で変えるのでなく

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。

昨日紹介した「ファミリーロッジ旅籠屋」の創業者、甲斐真さんのインタビュー記事で二つ面白い内容を見つけました。

一つ目は、「行政と意見がぶつかった際、要領よく結果を求めずにあえて真正面から対応するようにしている」ことです。今までにないものを作ろうとすると、必ず既存の法規制にぶつかります。ぶつからないのなら、それは新しくはないということ。
その際に、政治家を使ったり、役人に根回しする方法もあります。でも、甲斐さんは、「要領良く立ち回ろうとするんじゃない、必要ならちゃんと喧嘩しろ」と行政に対して「この規制が本当に必要なのか?』と問いかけ、先例を作ろうとされます。
結果、古い法律が現状に即したものに変わったり、後に続く人が出てきたりする。これは、行政内部で私自身が同じ事を経験しました。

国民健康保険の部署にいた時に、全国の先例を参考に、消防署の救急部門と連携して、縦割りを突破して効率化する仕組みを作りました。
個人情報の取扱の問題などありましたが、個人情報審査会などに真正面からぶつかって承認を取り付けました。
全国初では無かったですが、県内初の取組で、未だに県内他市町では出来ていない、との事です。

二つ目は、住み込みで経営する支配人は「お互いを助け合って人生を共にするカップル」であることを条件としていることです。
これは戸籍上の夫婦である必要はなく、同性カップルでも問題なし、という現代的なもの。

さらには学歴や職歴は一切不問で、ちょっとワケありの人まで、支配人として働いているといいます。
創業者の甲斐さんが「何かしら生きづらさを抱えている人の生きる場所が作れる。」としてそのようなルールにされたとのことです。

戦後、人口が増えていくことを前提とした仕組みのため、今、様々なところでひずみが出て根本から見直さないといけなくなっています。
旅籠屋の行政との交渉も働き方の条件も、今までの仕組みを小手先で変えていくのでなく、基礎部分から何が大事なのかを考えて作られていっているものだと感じました。