ごみ出しから見える地域コミュニティの危機

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12月におひとりさまとおふたりさまをテーマにセミナーを開催予定しています。
和尚が語るイマドキの終活セミナー 第2回 「おひとりさま・おふたりさまが今から準備したいこと」

おひとりさま、特に高齢の方について調べたり、周りの方々にお話を聞くと、日常的に日々起きるゴミ出しが大きな問題になっていることに気づかされます。

高齢者が自宅のゴミ出しをすることが難しい理由としては、以下のようなものがあります。
・身体機能の低下や持病により、重たいゴミを持ち運んだり、階段を昇降したり、長距離を歩いたりすることが困難になる。
・認知機能の低下により、曜日や分別ルールを覚えたり、ゴミ出しの時間や場所を確認したりすることが困難になる。
・家族や近隣との関係が希薄になり、ゴミ出しの協力や声かけが得られない。

また、高齢者がゴミ出しをしないことで生じる問題としては、以下のようなものがあります。
・ゴミが家の中に溜まり、衛生的にも精神的にも不快になる。
・ゴミが発火源となり、火災の危険性が高まる。
・ゴミが害虫や悪臭の原因となり、近隣とのトラブルに発展する。
・ゴミ出しをしないことで、社会とのつながりが失われ、孤立や孤独死のリスクが高まる。

こうしたことを解決するための解決方法として、行政や国が支援に乗り出していることが新聞で取り上げられていました。

毎日新聞 「高齢者、重いごみ出し 玄関前回収OK/町内会で協力 自治体、支援策に苦心」 2023/11/05

北九州市では、社会福祉協議会やシルバー人材センターが高齢者らのごみ出し支援をしたり、市が条件を満たした世帯を対象に、週1回の指定日に、玄関前のごみ袋を市職員が回収する事業を展開しています。
横浜市や大阪市でゴミ収集事業を直営でやっていることのメリットを活かして、支援が必要な世帯の玄関前ゴミ回収を行っています。
一方で、多くの自治体はゴミ収集業務を委託しており、個別の案件が増えれば対応が難しくなります。
公的サービスだけで対応するのは難しいでしょう。

以前であれば、多世代が同居していたため、ごみ出しなどが体力的に問題の無い家族が担当していました。
現在は、核家族や独居世帯がそのまま高齢化して、課題を抱える状況となっています。
昔のような多世代に戻すことはできない中、一部については、やはり地域コミュニティによる助け合いが必要なのだろうと思います。

最近、相続の関係で知り合った新聞販売店の方は、高齢者が古新聞を出せないことを聞き、定期的に回収に行かれるところから様々な高齢者サポートを始められたとお伺いしました。
高島市内で地域住民が助け合うコミュニティを作ろうと長年活動されている方もいらっしゃり、一部地域では根付いてきた気がします。
しかし、こうしたコミュニティも財源の問題や人の問題があります。
現在活動されている人に加え、継続的に新規の活動する人が入らないと、人を助けるどころか自分が支援を求める人ばかりになります。

ごみ出しだけでも、こんなに解決が難しいのですから、他の問題が複合するとさらに解決が難しくなります。
身近にある小さなことから「お互いさま」が始まらないと、今後はより生きにくい時代になると感じます。