滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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名古屋市の小学生が同じ学校に通う小学生に93万円を騙し取られたというニュースがありました。
加害者は、水族館で販売されている数百円のメダルを純金だと言ったり、透明の透かしが入ったカナダの10ドル札や日本の古い紙幣を高額で売りつけていました。
被害者の子はお年玉などで貯めたタンス貯金が102万円あり、学校で「僕は100万円持っている。かっこいいだろう」と話したことから金銭トラブルに繋がったのでは、とみられています。
被害者の子は、同級生から「お前ん家、貧乏なんだろう」と言われてバカにされた記憶があったので、見返したいという気持ちがあったそうです。
こうした状況は小学生だからというわけでなく、大人でも言われれば同じような反応をする人がいるのではないでしょうか。
多くの人は最終的にはお金を出さずに立ち止まれますが、境界知能といわれる人たちだとこの小学生と同じような行動をしてしまうと思われます。
そして、そうした人達は、最近の特殊詐欺の被害者になっており、場合によっては利用されて加害者にもなっていると言われています。
湖東事件と呼ばれる、滋賀県の旧湖東町の病院で、入院患者の人工呼吸器のチューブを外したとして殺人罪に問われていた西山美香さんは軽度の知的障害と発達障害がありました。
その特性を利用して警察に供述を操作されて冤罪を受けることになりました。
障害があってもなくても、自己肯定感や自己効力感を高めるために、自分の存在を認め、得意なことや努力することを認めてもらえる場があることは大切です。
ウチの子どもたちも、保育園では担任の先生が親も気づかないような子供が得意にしていることや友達との関係に気づいて教えてくれました。
小学校に上がってからも、学童で得意なことや努力する姿をほめてもらい一生懸命に頑張っています。
長男が将棋好きなのは、学童の指導員の方が毎日ずっと将棋につき合ってくださったからです。
長女は学童の子みんなでやり始めた編み物をたった一人だけ最後までやり切って、長くてデザイン性のあるマフラーを作り切りました。
我が子にとって、あそこに行けば自分は認めてもらえる、と思える場所が良い形であったのは幸せなことだと思います。
被害者のお父さんも、加害者を責めるのでなく自身の反省をされていたのが印象的でした。
「お金の価値などについて、早い段階からお金の教育をしなければいけなかった。お父さんが、おまえに対して怠っていたことは悪かったと、むしろ私が謝りました」
「子どもとの時間をたくさん取って、なるべくなんでも話し合えるご家庭に、すべてがなると幸せなのかなと思います」
今回のことでお子さんを責めるのでなく、機会ととらえて一緒に学びなおしたり、話し合える機会にされていることが素敵だと思います。
一方で、学校側の対応はいかがなものかと思います。
「問題が発覚した時期が中学受験シーズンであったこともあり、根拠のない話で生徒を刺激することができないという判断から、事実関係の確認ができなかった。警察に相談されたということなので、学校の手は離れている。警察から問い合わせがあれば真摯に対応する」
私としては、加害者を糾弾しろと言っているわけではなく、小学生の成長に関わるこんな大事な事件の可能性があるなら、中学受験よりも伝えないといけないことがあるだろう、と思うのです。
この学校に通う子供たちは、何か問題が起きても別の大きなテーマを持ち出して問題を先送りすればよい、と感じてしまうのではないでしょうか。
重大な事件の「可能性」があれば、子どもの教育や成長のために、すぐに周りの大人が対応を始める。
そういう環境づくりこそが教育現場なのではと思いました。
今回の事件は、単に大金をだまされた子がいて馬鹿だなぁ、ではなくて、境界知能の問題や、自己肯定感、自己効力感を高める環境づくりなど現代的な課題が裏に潜んでいると感じるものでした。