滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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滋賀県総合企画部人権施策推進課では、毎月1日に「じんけん通信」をインターネットで出されています。
内容も通り一遍のことではなく、時事の問題を的確に捉えながら考えさせる記事を書かれています。
9月号では、士業に関係の深い戸籍の「本人通知制度」について特集されていました。
結婚、引っ越しなどのライフイベントはもちろん、毎年の手当の報告などのためにも住民票や戸籍を取得される方は多いと思います。
また、会社を起こす時の登記や、相続手続のためにも戸籍は必要になってきます。
こうした戸籍や住民票を取得できるのは基本的には本人か限られた家族、またはその人達から委任を受けた代理人だけになります。
また、職務のために速やかに戸籍を取得することが多いことから、八士業(弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、海事代理士)には、職務上の請求が認められており、「職務上請求書」を使って取得することが出来ます。
この職務上請求書を使って、職務とは関係なく調査会社などの依頼に応じて戸籍を取得する事件が何度か起きています。
依頼した調査会社が「8割は結婚相手の身元調査だった」と述べていたこともあり、結婚に際して相手の身元を調べるという意識がまだまだ残っているということです。
このため、行政書士会でも、職務上請求書の取扱いが年々厳格になっています。
事件を受けてのあらためての倫理研修の受講が必須とされ、職務上請求書購入の際は、この倫理研修の修了証の提出が必須となりました。
また、更新して購入する場合は、前回まで使用した請求書の使用済み控えを提出し、使用内容の審査を受けないといけません。
こうした事件を受けて、全国の市町村では「本人通知制度」が導入されています。
代理人や第三者が本人通知制度に登録した人の戸籍を取得した場合、本人に取得されたという事実が通知されます。
これにより不正取得の早期発見に繋がり、多くの人が登録するほど抑止力にも繋がります。
私のお寺が所属する真宗大谷派でも、門前に張り出す「身元調査お断り」という看板が本山から配られています。
配られるということは、過去にお寺の過去帳を使った同様の身元調査などの事件が起きていたということです。
行政書士としても住職としても、人権意識を高く持たねば、と改めて気持ちを引き締めました。