滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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厚生労働省が発表した人口動態統計(速報値)によると、2023年1月~6月に生まれた赤ちゃんの数(出生数)が、371,052人でデータがある2000年以降過去最低と報道されていました。
Yahoo!の記事のコメント欄では有識者が記事の補足や分析を書かれていました。
・出生率低下の最大の要因は非婚化であり、また結婚したとしても子どもを産み育てることがリスクだと感じられていること。
・結婚や出産を可能にする経済力が今の若者には乏しい現状であること。
・コロナ時期のロックダウンにより、男女の出会いの減少(恋愛ロックダウン)が起きており、今後さらに深刻な状況になること。
などが挙げられていました。
既に結婚している世代や子育てが終わっている世代の人からすれば、結婚するのが当然、子育てするのが当然なのでしょうが、それはその人達の社会情勢がそうだったからでしか有りません。
税制や社会保障の仕組みが未婚よりも既婚、子無しよりも二人の子どもがいる方が有利になるように作られており、自然と誘導されるようになっていたからです。
現在の日本では、妊娠しやすく出産や子育ての体力がある年齢の女性に対して、仕事のキャリアでの負担が大きすぎます。
まず多くの企業で主力と目されているのは、大卒以上で、しかも新卒から何年も仕事内容というよりその会社のやり方というものに慣れさせるメンバーシップ型雇用となっています。
そうすると、大学を卒業後もとりあえず会社の現場に居続けることが、会社で評価される要素となります。
一昔前の企業戦士と呼ばれた男性会社員は家族のことを放っておいて、夜遅くまで職場に居続け、そのことが「頑張っている」と評価されていました。
結婚こそ出来るかもしれませんが、出産育児で職場を離れることが評価を下げる大きなリスクとなってしまいます。
またそうした家族が増えていくイメージが湧かなければ、そもそも結婚へのモチベーションにもならないでしょう。
メンバーシップ型雇用に対する、ジョブ型雇用は職務内容や勤務地、勤務条件を明確にして、その内容を元に契約を結ぶ雇用です。
これであれば解決できる面もあると思いますが、大学新卒の時からジョブ型雇用してもらえるようにするためには、高校や大学でより社会が求める専門的な学びが求められます。
そうした実学系の大学がどれだけあるか、ということもありますし、そこを追求すると学問型の大学の意義が損なわれます。
またジョブ型雇用であっても妊娠しやすい時期はやはり仕事に没頭しがちで、結婚や出産は二の次になるのではないでしょうか。
高度経済成長期にあったような商業高校や工業高校の学びがもっと評価されて、卒業生が即戦力としてジョブ型雇用されれば少しは変わるかな、と思いますが、今やそうした実業系の学校自体が評価されず減少しているような状態です。
また、子育ての負担も女性に偏りがちです。
昔に比べて男性が育児に関わる割合は増えたと思いますし、家事を担当することで間接的に育児に貢献している人も多いでしょう。
しかし、職場がそうした男性の家事育児参加に果たしてどこまで理解があるでしょうか。
多くの職場は、仕事が問題なく回ることが前提、そのために本人や家族の都合、時間、体力などを職場に捧げることを求めてきます。
また評価も犠牲多く捧げた人が高くなりがちです。
「異次元の少子化対策」と盛んに言われますが、だいたいお金を配る話ばかりです。
政治家や官僚は、お金がもらえるから子どもを産もう、と国民が考えていると思っているのでしょうか。
結婚したり子どもが出来て家族が増えれば確かに喜びがあります。
しかし、そこに仕事のキャリアの犠牲が伴ったり、家事育児の偏重があったりすれば、心が削られて心の底からは喜べなくなります。
ワークライフバランスという言葉もありますが、誰しも仕事も家庭も大事にしたいと思っています。
どちらかでなく、両立させてこそ、本当の「異次元の少子化対策」ではないでしょうか。