滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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市役所在職中の唯一の心残りは育児休業を取らなかった事です。
第一子の時は県庁出向中と市役所に帰ってきたばかりの年。
市役所に戻ってきてからは上司との人間関係に悩み、数ヶ月メンタルダウンもしました。
第二子の時は、メンタルダウンから復帰して異動したばかりの課でのタイミング。
第三子の時が決断さえ出来れば取れるタイミングでしたが、心を決める事が出来ませんでした。
育休は取っていませんでしたが、育児にはそれなりに関わってきたつもりです。
もともと家事全般は出来たので、子どもが小さい時は特に妻に代わって家事は一通りこなしました。
ミルク作りからゲップ担当、抱っこしてあやしたり、最終的には離乳食も作ったりしました。
第一子をおんぶ紐で背中に背負いながら離乳食を作っている時の写真を妻がコンテストに出してくれたところ、「滋賀のイクメン・カジダンフォトコンテスト2014」でグランプリをもらいました。
第三子が3歳になるタイミングで妻が復職し、家事育児もそれなりに担当しました。
朝起きて朝食を作り、家族を起こして自分も準備をします。
7時30分に家族全員が家を出て、妻は職場に直行、小学生は路線バスで通学するためバス停へ、保育園の子どもは私が車で送り、そのまま職場に行きました。
17時15分の終礼が鳴ると、職場の誰より先に職場を出て夕食の買い物、保育園、学童へ。
家に帰って晩ご飯を作りながら宿題を確認し、子どもをお風呂に送り込み、子どもたちが「いただきます」を言う頃、妻が帰ってくる、という生活でした。
ただ、どの業界もそうですが、業務は増えて人は減る。
公務業界はそれに加えて効率化の手立ては何も取ってもらえない、というところがあります。
フルタイム正規職員3人とフルタイム臨時職員2人でやっていた業務は、翌年に正職が1人減らされ、さらに翌年も正職が1人減らされ、退職前2年間は正職3人分の仕事が私一人にかかっていました。
同じ課に連続して在籍していて、業務の流れや要領が分かっていたため何とかこなせましたが、毎日家に帰っても翌日の仕事の段取りを考えていました。
ずっとイライラして、子どもにも刺々しく当たってしまい、妻からは「表情が怖い」と何度か泣かれました。
これではいけない、これは僕がやりたい育児や家族生活ではない、と思った事が退職の理由の一つになっています。
私が取れなかった育休を、毎日放送のアナウンサー、西靖さんが第三子誕生に当たって取られ、その様子が雑誌に連載されたものが本にまとめられたのが「おそるおそる育休」です。
「はじめに」で、この本は「育休のススメ」とか「HOW TO 育休」ではない、と書かれ、育休を取っても職場に居場所はあるのか、育児で何をするのか分かっているつもりだけど本当に出来るのか、とまさに「おそるおそる育休」を取得し、奮闘された様子が描かれています。
書かれている内容は育児をした事がある人なら「あるよね〜」と思う事ばかりで、特別に目新しい事はありません。
ただ男性が形式的に育休を取って、実態は奥さんのワンオペ育児というのではなく、西さんがしっかりと育児に関わられた事が本から分かります。
特に、新しいお子さんが生まれてお母さんが家に帰ってきてすぐの頃に、赤ちゃん返りするお兄ちゃんが「ママ抱っこ! パパじゃない!」とか「パパ嫌い! あっちいって!」と言ったという姿を読んで、自分の育児を思い出していました。
子どもを寝かしつけようとするのですが、私が担当する事が不満なのかなかなか寝ず、終いには泣き出してしまいます。
別にこの時が初めてではなく、何度も寝かしつけはやっていましたが、この日は何としてもダメでした。
妻と交代すると子どもが安心した顔をして、じきにスヤスヤと寝息を立てる様子を見て、何とも腹立たしい気持ちになっていました。
腹立たしい気持ちの原因が、私に不満だった子どもに対してなのか、子どもに認めてもらえなかった自分に対してなのか、多分その時は両方の気持ちがあったのだと思います。
その気持ちが顔に出ていた私を見て妻は「腹が立つのは、育児にちゃんと向かい合っている証拠だね。ありがとう」と言ってくれました。
確かに適当な気持ちでやれば「やっぱり僕がやっても寝ないね」とか言って、次は寝かしつけをしないかも知れません。
育児に向き合えていた事を妻に認めてもらえた気がした時でした。
育児は日々大変で、我が家では妻に比べて私の方が何かと口うるさく言うため、子どもたちは優しい妻の方に行こうとしますし、その様子を見てなんとも言えない気分になります。
しかし、口うるさく言えるくらいに子どもを見て、子どもと関わってきているので、子どもの成長や変化にも妻と同じタイミングで気付く事ができて、二人の共通の話題として子どもの話をする事が出来ます。
三人の子どもはそれぞれに違うものに興味関心を示し、自ら主体的に取り組んでいて、親が勝手な期待したり、誘導したりすることもありません。
どんな大人になっていくのか見当もつきませんが、すぐ傍で見れる事を喜びとして、まずは今朝の朝ご飯作りに取りかかろうと思います。