滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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私の兄は9歳上と7歳上ということもあり、兄の子ども、つまり私の甥姪は大学生や高校生になっています。
ウチはまだまだ小さく、一番上が小学4年生、一番下の子は来年小学生になります。
次兄がイギリスのケンブリッジに赴任した時に、家に泊めてもらって単身、観光旅行に出かけました。
イギリスはロンドンには一度旅行に行っていましたが、それ以外の街に行くのは初めてでした。
電車で一時間と少し、名前の通り、大学を中心とした学園都市なので、落ち着いた雰囲気の街でした。
昼間のうちに観光して、夕方、仕事が終わる頃に兄と合流して、兄の家に向かいました。
街の中心からそんなに離れていない郊外の閑静な住宅地で、庭や中庭がある二階建ての家でした。
隣家はケンブリッジ大学の教授だというので、兄に「ここは高級住宅地なの?」と聞くと「超高級住宅地だね」と返ってきました。
無論、兄は会社の経費で住んでいるので、兄が出していたわけではないのですが。
兄は家族で来ていて、姪が5歳になってイギリスの小学校に上がるとのことで、学校選びの様子を聞きました。
ざっと調べて選択肢は三つ。
地元の「公立校」か、「私立校」か、「プレップスクール」と呼ばれるパブリックスクールへの受験準備などもする学校のどれかとのこと。
まず公立校の見学に行くと、最低限の教育の機会の平等は与えられているという感じ。
アルファベットなどは教えてもらえるけれども、先生の発音もどこかの訛りが入っている感じで、まあ英語圏で暮らせる程度には学べるか、といった感じで学費もお安目だそうです。
私立校に見学に行くと、先生の発音もしっかりとしたクイーンズイングリッシュとなりますが、学費もかなりの額に。
そしてプレップスクールに見学に行くと、教育水準だけでなく、通っている子ども達のレベルの高さも感じられるそうで、学費もそれに連れて桁違いに高くなるとのことでした。
兄が、プレップスクールで説明を聞いて、卒業すればパブリックスクールに上がっていけるのか尋ねると、「もちろん。パブリックだからみんなに開かれているよ。産まれたらすぐにパブリックスクールの名簿への登録は済ませてあるよね。登録していないなら何年か順番待ちかな」と言われたそうです。
そういえばハリー・ポッターでも「ハリーは産まれた時からホグワーツ魔法魔術学校の入学者名簿に載っていた」というような表現がありましたし、イギリスの王族は産まれてすぐにパブリックスクールの寮の名簿に登録する、といった話を聞いたことがあります。
結局、兄は私立校を選択し、そこに通った姪は美しいクイーンズイングリッシュを話すようになり、帰国した今は上智大学へ進学しています。
兄から「パブリックスクールのパブリックとは何のことか分かるか?」と言われましたが、直訳して「公」と訳すだけでは、そもそも私立校ですし上手く説明できませんでした。
イギリスは大英帝国として、インドや中東、アフリカに多くの植民地を持っていました。
そのため、貴族は外交官として世界各地に赴任することになり、家族連れで行くか単身または夫婦で行くかを選択する必要がありました。
家族連れの場合、現地で高度な教育を受けることは難しいので、イギリスから高名な学者を家庭教師として連れて行き、その家庭教師のことを「プライベートチューター」と呼びました。
単身または夫婦で赴任すると子どもがイギリスに残されます。そのため、子どもを学校に通わせると共に日々の住まいも見る必要があることから全寮制の学校に入れることになります。
この学校が家庭教師「プライベートチューター」に対する「パブリックスクール」なのだ、と聞かされました。
パブリックスクールでは、通常の学問の他に今は学問でしか使わないラテン語やギリシャ語を学びます。
そのため、相手がパブリックスクール出身かどうかを確認するために、ラテン語を知っていれば容易く答えられるような言い回しで尋ねてみて相手の反応を見るそうです。
今回戴冠したチャールズ3世が、友人とのディナーの後は暖炉の前でラテン語で語り合うのが趣味で、そんな習慣がなかったダイアナ妃が耐えられなかった、という記事を読んだことがあります。
近年は、イギリス以外の英語圏の富裕層、例えばインドの大金持ちなどが、多額の寄付などをして子どもをパブリックスクールに入れている、という記事も見ました。
姪が通った私立校でも、そういう子どもが来ていて、まぁ当然ながらいじめや差別の対象になるので、そういう子達でつるもうとするそうです。
姪がイギリスの学校に通えたのも短い期間でしたが、とても良い印象だったようで、帰国後も長期休みで行ける時にはイギリスに行って、当時の友人と会っていたそうです。
通った学校によって、学び方や将来の進路にも大きな影響を受けたように見えます。
そう思うと、我が子達を中学校以降、このまま地元の公立校に通わせるか、どこか中学受験して目指すか。
本人達の希望や努力の問題もありますが、何とも悩ましいな、と感じます。