どうやって売るかはイチゴほど甘くない

滋賀県高島市住職系行政書士吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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GWの家族のお出かけとしてイチゴ狩りに行ってきました。
大人2000円、小学生1600円で45分食べ放題、練乳とチョコレートソースも準備していてくれます。

お昼ご飯の時間帯の回を申し込んでおき、昼食代わりにイチゴを沢山食べました。
といっても、大人でも30個ほど食べればおなかいっぱいです。
前職の職場旅行で行ったことがあるのですが、その時は行きのバスの中でビールを飲んでいたので、舌がやや麻痺していましたが、今回はしっかりと味わうことができました。

イチゴの種類は章姫で、シーズンも終盤のためか甘みはそれほど強くありませんでしたが、完熟摘みたてを食べるので、果汁はたっぷりでした。
最初はイチゴをそのまま食べたのですが、すぐに物足りなくなり、練乳とチョコレートソースを準備。
個人的には練乳派なのですが、食べ続けるとすぐに飽きるので、ビターなチョコレートソースに変えると、舌がリフレッシュされ、すぐに次のイチゴに手が伸びる状態になりました。

子ども達もずっと満面の笑みで、特に行楽先にイチゴ狩りを希望した長女がいつにない笑顔を見せてくれたのが印象的でした。
帰りに受付近くの直売所でジャム向けC級品と書かれた、小さめで少し熟しすぎかな、というイチゴが大量に入った1パック700円を祖父母へのお土産に買って帰りました。

予約時間は10時から15時までの6回で、ハウスが7つか8つあったので、各回で1つのハウスなのでしょう。
私たちを含めて3組の家族連れと、2組のカップルが来て、全員で15名ほどの参加でした。
大人9人、子ども6人とすると料金は合計で27600円となり、これが6回なら165600円になります。
平日だと6回全てが埋まることはないでしょうから半分の3回が埋まるとして、約8万円の売上になります。

出荷することで売上を立てている農家だと、8万円の売上を作ろうと考えると、1パック500円を160パック出荷する必要があります。
しかも、大きさ・形・色味を揃え、パックに潰れないように詰めなければなりません。
その過程ではじかれたイチゴは加工工場を持っていたり、そこに出すルートがあればジャムにすることもできるでしょうが、そうでなければ廃棄です。
安定的に同じ質の物を出荷するのはなかなか難しいでしょう。
また、鮮度を考えれば出荷は一気にやってしまわないといけないので大量の人手が必要になり人件費がかかります。

出荷は卸売市場に出すか、農協に出すか、小売業者に出すか、というところでしょう。
いずれにしても手数料がかかりますが、買取の約束などがあれば少なくとも売上は立ちます。
直接、消費者に販売する直販もありますが、受注と都度発送の手間がかかります。
また、受注できなかった場合、質がよいにもかかわらず売れ残りとなり廃棄することとなり、こちらは売上が立たなくなります。
最近ではネット販売、いわゆるECサイトでの販売も出てきましたが、こちらも直販と同じ手間がかかります。
「食べチョク」などのプラットフォームを利用すると手数料もかかります。

イチゴ狩りはいわゆる「観光農園」というスタイルです。
販売手数料はかかりませんし、お客様が来てくれるので輸送コストもかかりません。
体験に対するお金なので、同じ量のパックを買ってもらうよりも高いお金を払ってもらえます。
イチゴもお客が勝手に取ってくれるので、大きさ・形・色味を揃える必要もありません。
質がイマイチのイチゴも摘み取っておいて、ジャム用C級品と書いておけば、私のようなチョロい客が買って帰ります。
接客については、受付と案内、最初の説明、終了の合図くらいなので人数も接客技能もそれほど要りません。

一方でお客が集まらないと始まりませんから、広告宣伝費は通常よりかかります。
また、観光農園が集中している地域だと価格競争も起きるでしょう。
噂に聞いた話ですが、外国語対応に努めた観光農園がインバウンド需要を大きく掴まえ、近隣の観光農園とは桁が違う売上を上げたところがあるそうです。

農業はどうやって良い作物を作るか、と同じくらい、どうやって売るかが大事な業界です。
特に鮮度など期限の問題を抱えながらの業種ですので、他の業種より一層工夫が必要です。
鮮度の問題がない分、自分自身の仕事についても「どうやって売るか」を改めて考えなければいけないな、と思いながらイチゴを頬張りました。