リーダーが出るのは偶然だが、ファシリテーターなら生み出せる

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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先日、高島市の男女共同参画の団体にお招きいただき、男女共同参画と相続をテーマにお話をしてきました。
私自身は市役所で3年間、男女共同参画推進の担当者として活動しましたので、少しは知識があります。

今回の参加者は女性ばかりで、結婚・出産・育児を機会に仕事を辞めて家に入ったという方が多くいらっしゃいました。
これまでの人生についてお尋ねすると、本当は仕事を続けたかったけど、パートナーから仕事を辞めて家には言って欲しい、と言われた、などを残念な気持ちと一緒にお話しいただきました。

そこで、例えばパートナーの方が、家事・育児がそれなりに出来る、例えばいわゆるイクメン・カジダンと呼ばれるような人なら、これまでの不満はなかったか?と言った問いかけをしました。
多くの皆さんは仕事を続けるという実際部分よりも、それが出来なくて残念だった、という気持ちの部分をパートナーに理解して欲しかった、と話されました。

相続についても、遺言を書けば問題ないか、均等に財産を分ければ問題ないか、という所から、財産を残す方のお気持ちを一緒に伝えることの大切さに気づいていただけるようにお伝えしました。

両方の話に共通してお伝えしたのは「コミュニケーション」が必要である、ということです。
コミュニケーションの基本となる傾聴・受容・共感によって、たとえ問題そのものは解決しなくても、気持ちの部分で納得していける部分があります。

能登半島地震でも男女共同参画と絡めた記事が出ていました。

避難所も一定期間が経つと、被災した自宅の片付けなどに出るのか、日中は高齢者と女性ばかりとなり、運営の負担が特定の人ばかりにかかっているというものです。
「男性でもカレーくらい作ってほしい」という具体的な声も聞こえてきます。

避難所運営や集落単位の二時避難の成功例を見ると、地域の方でリーダーとなる主導的な人の存在が見られます。
しかし、それは事前に余程の準備があるか、偶然の結果と言えるでしょう。

記事では、リーダーではなく、多様な要望を客観的に聞き取り、意見を調整して合意形成に導く「ファシリテーター」の存在が必要と語られています。
ファシリテーターの場合は、実際の行動までなかなか行き着かなかったり時間がかかるものも多いかと思います。
しかし、合意形成を目指すので、最終的な納得が大きくなるのではないかと思います。

非常時にリーダーになれというのはなかなか難しいですが、合意形成を目指すファシリテーターであれば、事前の訓練である程度まで育成できるのは無いかと思います。
行政も自治会も、しばしば防災訓練を行いますが、リーダーや班長といったトップを作るばかりでなく、ファシリテーターの育成を考えてみてはどうかと思います。