いつか報恩講を満堂の本堂で

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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昨日は当寺の報恩講をお勤めしました。
報恩講は親鸞聖人の御命日をきっかけとして、御恩に報恩感謝する仏事として行われます。
この御恩が誰に対してかと言えば、親鸞聖人が阿弥陀様の働きやお念仏について明らかにされたことでもありますし、いわゆる私たちのご先祖様と呼ばれる人たちが教えを伝え続けて私たちに今、届いていることの感謝でもあります。
報恩講は浄土真宗で最も重要な仏事とされていて、浄土真宗の一年は報恩講で始まり、報恩講で終わると言われています。

新型コロナが感染してから仏事であっても人が集まることが少なくなりました。
一番規制が強かったころは、報恩講をはじめ毎年の定例行事も住職と寺族だけで内勤めとしていました。
お葬式の参列者も、家族と身近な親族だけにするのが加速しました。

また、これまでお寺によく参っていただいていた方々が高齢化して、お寺まで来られなくなりました。
まだ来られる体力がある方でも、夜のお参りは足元が怖いから、ということで昼のお参りだけ来られるようになりました。
高齢世代が来られないので次の世代の方が来られるようになったかというと、その方々は遠方に居住しているためほとんど顔を見せられません。

これまでは仏事があれば面倒くさくても行くのが当たり前だったのが、自分の都合がよくて、気が向いたときにだけ来る、という方が増えました。
そのため逮夜法要と呼ばれる午後2時からの法要に行くと、ほかの用事が全然できなくなるから、と敬遠される方が増えました。

今まで当寺では、土曜の夜と日曜の昼の二座で報恩講をお勤めしていました。
まず夜の法要は、今までよく来られていた高齢の方が来られなくなりました。
日曜昼からの法要は用事がある、と言われる方が多くなり来られなくなりました。
一度は日曜午前だけにしたのですが、一座だけだとそのタイミングを逃すとお参りすることができません。
そのため今年は、日曜の午前と午後に法要をお勤めしました。

午前の法要の後には役員会議も併せて行ったため、役員を中心にそれなりの人数にお参りいただきました。
午後の法要には受付を担当してくださる方がお一人、午前に引き続きお参りいただいただけで、後は住職と寺族だけでした。

一度お寺に参らない流れができているのですから、それを変えていくのは簡単にはいかないでしょう。
ただ変わった行事をして人を集めるのでなく、みんなが話を聞きたいと思うような説教者を繰り返し招いて人を集めていきたいと思います。

もう、うちのお寺の檀家の方だけで本堂を満堂にすることは難しいかもしれません。
しかし、浄土真宗の教えを求める人が外からやって来る形であっても、沢山の人で報恩講をお勤めできるようにしたいと思います。