男性の育休取得は進んだが復帰後はどうか

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらから。

NHKの特集で、育休を取得した男性の職場復帰後の苦悩が描かれていました。

国が男性も育休が取得しやすいように、休暇制度そのものやその時の給与補償にあたる給付について、制度を手厚くしています。
その効果もあってか男性の育休取得率は昨年度、過去最高の17%になったとのことです。

育休を体験したということもあり、育休後も育児に対して積極的に参加する様子もうかがえます。
しかし、復帰した職場そのものは、育休前と同じ業務量を求められる様子があるようです。

特集で登場した男性は、夜泣きのために夜途中で起きたりしながら、朝4時に起きて仕事をこなしていました。
また急ぎの案件が入ると、子どものお風呂や寝かしつけで最も忙しい夜8時や9時にリモートの打ち合わせなどが入ることもあり、気が休まらず、育児にも向き合えなかったと語られています。
そのため、結局育児と仕事を両立できる環境を求めて転職されました。

別の男性は仕事と育児の両立を目指すプレッシャーからうつ病になりました。
周りの男性は育休後も、育休前と同じ業務量をこなしており、そうするのが当然だと感じたと言います。
しかし、家事も仕事も全てこなせるのはスーパーマンであり、自分にはキャパオーバーだったと答えられていました。
推測にはなりますが、男性の育休取得がキャリアに影響する雰囲気も合ったのではないでしょうか。
それだけに復帰後にその分を取り返したいと思う気持ちも強く、余計に自分を追い詰めたのではないかと思います。

今、父親になる世代は家事もすることが当たり前に感じるように教育を受け、育児に関しても積極的な割合が増えています。
しかし、この特集で出された企業の経営者や人事担当者が持つ育休復帰後の社員の働くイメージでは、「女性は常に残業できる」と応えた人がごく少数にもかかわらず、「男性は常に残業できる」と応えた人はその7倍ほどになっていました。
社員と会社側に意識のギャップがあることが示されています。

ある生命保険会社では、管理職に「育児中の社員の一日」を体験してもらう研修をしていました。
体験した管理職は「送り出す側は経験してきましたが、自分が仲間に仕事をお願いして送り出される側になるのを初めて経験して、少なからず後ろめたいような気持ちになることに初めて気づきました。まだ理解不足だったなと感じます」と答えられています。

私が市役所に勤めていて女性が多い職場にいている時は、育児に関する行事のための休暇や急な休みのお願いも非常にしやすい雰囲気がありました。
職場の人の多くが子育て中や子育て経験者ということもあり、共感があったからだと思います。
逆に男性が多い職場では、休暇は認められるものの何とも言えない空気が流れていました。

制度が整っていても、空気によって後ろめたい気持ちが生まれるのは前述の保険会社の管理職の研修のとおりです。
国や会社が制度を整えるだけでは、「産みやすい」環境はあっても「育てにくい」環境となっているわけで、この育てにくい環境では第二子、第三子の出産に躊躇するのではないでしょうか。

産休や育休の経験、その後の子育ての経験が、会社にとっても社会にとっても有益であるという文化が育っていかなければ、日本は変わらず子育てがしにくいままとなってしまいます。

しかし、制度では変えていくことの出来ない「空気感」、これを変えていくためには、何か大きなきっかけとなる出来事がないと難しいのかもしれません。