夏のドリルは何のためにしているのか

滋賀県高島市住職系行政書士吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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夏休みが始まりました。
我が家の小学生は学童に通っているので、これから毎日お弁当作りです。
日々の給食の有り難さを感じます。
学童側でもカレー作りなど、向こうでの調理の日を何日か設けて保護者の負担軽減を図ってくれています。
保護者が何がうれしいかを分かってくれていて、とても助かっています。

夏休み直前に保護者の個別懇談があり先生とお話ししてきました。
今のところは特に問題に感じることもないので、家と学校での様子を情報交換する程度のお話でした。

ただそこで示された夏休みの宿題の量に、見ただけでウンザリしました。
毎年の内容もそう変わりませんし、学年が違ってもほぼ似た内容になります。
前例踏襲でそのまま出されていることがうかがえます。
夏のドリルは一学期の内容が網羅されていますが、分かっている内容もやらなければいけませんし、理解が浅い内容については量が少なすぎるものです。

NHKのニュースで、夏休みの宿題が出されていない学校が紹介されていました。

狙いとしては二つあるようで、一つは生徒の主体性を伸ばすことです。
自分で課題を見つけて、そのことを学んでいって欲しいと話されており、将来のために語学勉強に励みたい、といっている子や、塾の課題が多いので学校の宿題も合わせてすると寝るのが夜遅くなってしまう、という子には有効なのだろうと思います。
塾などに行って先取りの学習を済ましてしまっていたり、学力が高く授業のペースでは遅すぎる生徒、「落ちこぼれ」に対する「吹きこぼれ」の子にとっては、一学期で学んだことをあらためて復習する必要もないでしょうし、よい方式だと思います。

狙いのもう一つは、教員の長時間勤務の抑制です。
宿題の採点などの業務が軽減されることで、生徒一人一人に向き合う時間が増えるとのことです。

保護者からは取組は支持するものの、学力差が出ないか心配の声もありました。
識者からも保護者と似たような声が聞かれていました。

私は、この取組の方向性を進めるべきだ、と思います。
今や生徒の学力は平均点付近が多い分布ではなく、点数が高い生徒と低い生徒に二分され平均点付近が少なくなっている状況だと感じます。
そのため生徒それぞれに合わせた学び方が必要になっています。

学力が高い子には最低限の復習と自分で興味関心を持つ内容を自分で取り組んでもらう仕掛けを、学力が低い子には個別の理解状況に合わせた違った角度からの学習をすべきです。
そのために一人一台配られているタブレットを活用すればよいのです。

インターネットやSNSで各個人の視聴、嗜好に合わせてAIが自動的にオススメしてくるように、子どもの学力や理解度に合わせて、AIに不足している部分の学習を担当してもらうのです。
教員にとっても、学力が高い子は勝手に進めていくので簡単な確認程度で済むでしょうし、学力が低い子には時々、横につきながらサポートをしていけば、生徒一人一人に合わせた対応ができます。
また、タブレットのアプリ上での出題であれば採点もアプリがしてくれます。
教員の負担の軽減にも繋がるでしょう。

従来の方式から変更する意見に対しては、それでも枠から外れてしまう生徒をどうするのだ、と批判が来ますが、そこまで少数になれば、さらなる個別対策もできます。
それに現在の方法でも吹きこぼれの生徒も落ちこぼれの生徒にも対応できていません。

今、流通している商品や社会の仕組みも一律の既製品があてがわれるのでなく、個々人の能力や趣味嗜好に合わせてセミオーダーのように少し変化させるものが主流です。
先生の能力と労力だけに頼って生徒一人一人に合わせていくのでなく、新たに出てきた便利な道具、しかも生徒一人一人に配られている道具を使って教育現場の改革を進めて欲しいと思います。