物と人との幸せな関係を築くために

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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タレントの松本明子さんの著書「実家じまい終わらせました!」の中では、実家の遺品整理をはじめとする片付けのために多額の費用と手間と時間がかかったことが書かれています。
東京からの往復の時間と費用も大変ですが、体力的にも大変だったとのこと。
両親が元気なうちに「お父さんとお母さんがいちばん大切なものはなに?」とか「これは子どもにも孫にも引き継ぎたいものなの?」ということを聞いた方が良いとアドバイスされていました。

遺品整理に手が付けられず困ってしまう様子が記事になっていました。

・毎日新聞 シニアのくらしセミナー「遺品整理、手が付かず 普段から習慣付ける 片付けのコツとは? 「とても大事」な物だけ残す」 2023/10/24

記事では、人にとっても物にとっても幸せな良い関係を築くことを目指しています。
物にとっての良い関係とは「使われていること」

確かに年配の人の口癖は「もったいない」「いつか使うかもしれない」というもので、箱に入ったままの新品のタオルや洗剤や食器が積み上がっている様子をよく見かけます。
これを周りから「処分しましょう」とか「捨てましょう」というと反発が生まれるでしょうから、「他の人に使ってもらおう」という促しでリサイクルショップなどに持ち込むとスムーズなのかなと思います。

親の入院中に子どもが無断で自宅の私物を捨ててしまい、退院後にトラブルになり親子関係が悪化する様子も書かれています。
「たとえ家族であっても、人のものは勝手に捨ててはいけない」とアドバイスが書かれています。

しかし、最近は相続の現場で逆の様子も見られる気がします。
親としては、子どもは残されても仕方ないだろうと写真やアルバムなど、親の記録になるようなものを捨てようとします。
一方で子どもは、親の生涯の記録が分かるものを少しだけでも残したい、と思っていて、全て捨ててしまったと聞くとガッカリしている様子が見られます。

前述の松本明子さんのアドバイスは、親が残したいものを選びやすくする内容でしたが、逆に子から親へ残しておいてほしい、引き継いでほしいものを話すのも大事だと感じます。
つまるところ、他の相続の問題と同じく、一人で勝手に決めずに対話の中で考えを深めていくことが必要なのだ、と感じました。

生前整理や遺品整理で外部の業者を入れる際の注意点を聞いたことがあります。
こうした業者は二種類に分類されるそうです。
一つは全て廃棄物として捨ててしまう業者。
荒いように見えますが、価値があるかどうかを見極めたりはしないので費用としては低く提示されるそう。

もう一つは事前に依頼者から大事なものがないかなどの聞き取りをして分類しながら整理していく業者。
過去になくして見つからなかった大事なものが発見できたり、思ってもみなかったものを見つけてくれたりしますが、分類の費用がプラスされるため高めの提示となるそう。

どちらが良い悪いではなく、自分が希望するスタイルがどちらなのか、というところがポイントかと思います。

身の回りのものを整理すると寂しく感じることがあるかもしれませんが、大好きなものだけに囲まれて生活していくことにも繋がります。