保育園の待機児童が解消したら次は学童の待機児童

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ウチの第3子の就学前検診がありました。
いよいよ一番下の子が小学校に上がるかと思うと感慨深いものがあります。

当初は妻が仕事に復帰する年度で、子どもたちに保育園に通ってもらおうと考えていました。
しかし、二人目の子どもが産まれて、私も妻も体調を崩した時期があり、慌てて保育園にヘルプを求めに行きました。
年度途中で急に入れるわけもないので、一時保育の枠が空いている園を教えてもらい、そこに預けながら翌年度の入園申請を待ちました。
そのため、どの子も結構長い期間、保育園にお世話になりました。

保育園では、単に子どもたちの安全を守るだけでなく、身心の成長面についても細やかに見てもらいました。
身体の使い方があまり上手ではないと感じ先生に相談すると、理学療法士の巡回を手配してくださり、専門的な知見で回答をもらって安心したこともありました。
精神的な成長も見守ってくださり、親が気づいていない子どもの様子を先生から教えていただくこともしばしばありました。
正直なところ、今、小学校の面談で担任の先生とお話ししても、保育園の時のような手厚さはなく、親から様子を伝えて先生の方が「そんな面があるのか」と驚かれている状態です。

保育園と言えば待機児童の問題というくらい新聞やテレビでも報じられ、2016年には有名な「保育園落ちた日本死ね」の投稿がありましたが、今や大幅に減少しています。
子どもの減少などもありますが、認可保育所の整備が進み、利用枠が拡大されているところも大きな要因だと感じます。

滋賀県の統計情報を見ると、以前は利用児童数が3万人を切っており、比較的大きな市を中心に300人以上が待機児童になっていました。
特に国の保育無償化が始まった2019年の翌年は待機児童数もピークとなっています。
現在では児童利用数は3万5千人を超え、待機児童数も118人まで減少しています。

新聞によれば、東京都では認可保育所で対応できない枠をカバーするために都が独自に設定した認証保育所がありましたが、近年は利用者数の減で閉園するところが増えているとのことです。

毎日新聞 くらしナビ・社会保障「“保育バブル”崩壊? 都市部でも空き」 2023/09/21

一方で、国は異次元の少子化対策として「こども誰でも通園制度」を設けています。
生後6か月から2歳までなら誰でも受け入れるとのことで、孤立感を感じている親が一時的に預けたりするにはいいのでしょうが、試行事業は月上限10時間となっているので、ほとんど役立たないでしょう。

また、より困っているのは未就学児よりも就学時を持った親です。
以前のコラムでも書きましたが、学童保育への入所希望者数が定員を遙かに超えている状況になっています。
前述の保育無償化でこどもを預けて働くようになったその子がちょうど小学校に上がって行っているタイミングなのです。

私が理事を務める学童も概ね60人程度の定員で、毎年8〜10人程度の入所希望者数でした。
それが6学年分で、しかも高学年になると退所していく子もいるので十分に枠の中で回せていました。
しかし、この2年は20人を超える入所希望者数となっており、来年も同様です。
また、今年の夏の冒頭に学童行事でプールの死亡事故が起きたこともあり、行政からの定員管理が非常に厳しく言われています。

「異次元の少子化対策」の中で学童保育の充実も謳われていますが、具体的な内容はまだ見えていないところです。
税の還元を名目に数万円を配るのも良いですが、それよりもこどもを持って働く世代の環境を整備して、安心して働くことができれば所得世帯が増加します。
また、重点施設として学童保育の支援員の給与増のために国が支出すれば、潜在保育士の活用も多様な背景を持った支援員の確保もできます。

若干のお金を配っても、こどもを預けて安心して働きに行くことはできないわけですし、子育て世帯がその事に疲弊している姿を見ればますます出産へのブレーキとなるでしょう。
保育園だけ、学童だけ、学校だけ、という場当たり的な政策でなく、結婚したい、子どもを産みたいと思ったところから大学卒業までの一気通貫した政策を考えてほしいものです。