他者と比較していては楽しめなくなる

滋賀県高島市住職系行政書士吉武学です。
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毎日新聞の記事で母校、北海道大学の大学院修士の高橋佑輔選手が陸上の日本選手権男子1500mで2位に入った記事が載っていました。

中学時代は平凡な成績だったそうですが、高校から素質が開花。
高校総体でも全国3位や優勝の経験があるそうです。
北大進学後、早朝と夕方に1時間ずつの練習で、基本は一人の練習だったそうです。

大学進学時に、大学院までの6年間での1500mの目標タイムを設定し、日本選手権の表彰台に上がることを目標とされたそうで、今回の大会でそれを同時に達成されました。
7月に開催されるアジア大会にも出場できるタイムですが、大学院卒業後は一般企業に就職し、実業団選手ではなく、仕事の合間に練習を続けるそうです。

そこでも目標タイムを立てていて、その目標が達成できれば日本記録を破ることになります。
しかし、もし仮に日本記録を破ってもすぐに誰かがさらに良い記録を作ってくる、と意に介されていませんでした。

「陸上は人生のメインではなく、楽しむことを崩したくない」とおっしゃられ、その自分が楽しむということは「誰かに勝つ」のではなく、「自分が設定したタイムを追いかける」ことだと語られています。
勝つことを重視することは「自分が置いて行かれた時に楽しむことができなくなる」からだそうです。

目標を設定し、そこに向けて自分で練習方法を検討・工夫し達成していくことに喜びを感じるのは研究職だったからなのかな、と推察します。
おそらく体力が落ちてくる年代になると、今度はその年代の中での目標を設定し、そのクリアを楽しまれるのでしょう。

他者との比較でなく、自分の中に目標を設定し、それを果たしていくというのは仏教の「八正道」に通じるものがある気がします。

八正道は、正見(正しい見解)、正思惟(正しい決意)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行為)、正命 (正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい思念)、正定(正しい瞑想)からなりますが、他と比較して出来ているかどうかではなくて、根本の基準に照らし自分が出来ているかどうかが肝心です。

他と比較する人は、自分が出来ていると鼻高々に「増上慢」となるか、自分なんて全然出来ていないと卑屈に「卑下慢」となりがちです。

高橋選手はそうではなくて、ただ自分の目標に向かって、黙々と努力を積み重ねていこうとされているので、ある意味、修行僧のように感じるところです。