滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
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九州北部の記録的な大雨で大きな被害が出ています。
ちょうど被害が出た10日(月)は前日から大阪に出張していたのでホテルでNHKをずっと見ながら気象状況や被害状況を見ていました。
気象庁が特別警報を出して記者会見を行っており、被災地の情報が国交省の定点観測カメラや視聴者からの情報提供の動画から流れていました。
後日の報道を見ていると、気象庁が事前にコンピューターで計算して警戒していたのは8日から9日。
前日の9日の段階でも10日にこれほどの雨になるとは予測されなかったとのことです。
記者会見で気象庁予報課に対して記者から「ここまでの大雨になることをなぜ予想できなかったのか」と質問が出て、やや責めているように感じました。
大雨など災害の予報とはいえ、いわゆる天気予報。
ほんの少し前までは、みんな天気予報なんて半分当たれば良い方と思っていたはずです。
何事も起こらない時と同様の精度の予報は出しているのに、誰かが被害を受けると途端に無謬性を求めるのは、最近の世相の悪い傾向だと思います。
そもそも気象庁は予報の精度も年々上げていますし、災害の発生が見込まれるような状況の時には事前に記者会見を開いたりもしています。
また一般の人に伝わりやすい表現を日々手探りしながら探して、改善を図っていると感じます。
被災地の自治体に対しても厳しい意見が多いように感じます。
そもそも大雨の可能性があることや、事前に自主避難するための避難所などは各自治体とも開設していたようです。
ただ、最大級の線状降水帯の予報を気象庁が出したのは深夜3時、特別警報は早朝6時となれば、自治体として避難を呼びかける判断に迷う時間となったでしょう。
新規に避難所を開設するにも職員を暗い中で派遣する必要があります。
避難する人も同様に暗闇の中の移動を強いることになり、以前の兵庫県佐用町の夜間の避難で亡くなった人が出たことなどを考えると、躊躇する要素があります。
これで夜間の避難の中で亡くなった人が出れば、報道から「自治体はなぜ時間帯を考えて避難を呼びかけなかったのか」と批判されたことでしょう。
自治体は基本的には気象庁の発表を元に対策を考えるわけですから、前述のとおり過小にも過大にもなる予報の中で難しい判断が迫られます。
そんな自治体に気象や防災の専門家はほぼいません。
あちこちの業界と同じく、業務は増えて人は減っていく状況の中で、住民票を出す業務の人が災害時は避難所担当の職員になるような状況です。
つまるところは私たち一人一人が、気象情報を見て、自分自身を守っていくのが本来です。
気象庁も自治体も満点の仕事ではなくても及第点の仕事は十分にしているはずです。
毎日の業務を問題なく運営していることを「当然」として感謝もせず、何事かがあると減点方式で満点に届かないことを責める「人任せ」な社会の風潮の中で、職員の方はどうやってモチベーションを保って仕事をせよ、というのでしょう。
自分自身が考えて行動する、それを助けてくれるのが自治体であり、気象庁であり、周りの人々である、という「自責」の思考をもう少し持つべきでは、と感じた今回の災害でした。