法名は仏弟子としての名乗り

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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御門徒の方が亡くなられたので枕経に行きました。
読経が終わると、今後の通夜葬儀の打ち合わせなどを行います。

今回の方は生前に法名を受けておられなかったので、院号法名を希望されるかどうかの確認もしました。

真宗大谷派では、「戒名」でなく「法名」をいただきます。
法名はお釈迦様の「釈」の字に加え二文字付けて「釈●●」のようにいただきます。

「戒」の字は「いましめ」とも読むように、仏弟子としての誓いや約束ごとを師匠と弟子で交わすものです。
浄土真宗の門徒である私たちは伝統的な戒を守れないと自覚していますので、戒名をいただくことはできませんが、仏様の教え「法」をいただくものの一人として「法名」をいただいています。

法名は浄土真宗の仏弟子としてのお名前です。
そのため本来は生前に帰敬式などの儀式を経て本山からいただいていただくようお勧めしていますし、死後のお名前でもありません。
生前に法名をいただく機会がなかった方もいらっしゃるので、便宜的に通夜前に儀式を行い、法名をお渡ししています。

院号法名は真宗大谷派では、本山に対し多額の寄付(8万円以上)があった方に対し、本山から賞典(御礼)として渡されるものです。
金額が入るため、お金で買うような感覚の方もいますが、あくまで賞典であることをご説明しています。
法名の上に「◎◎院」という形で付き「◎◎院釈●●」となります。

なぜ院号をつけるのか、とご質問をいただくこともあります。
生前にその方が本山に対して貢献されることがあれば非常に分かりやすいですが、亡くなった後にご遺族が検討されるとなると確かに疑問に思われるところだと思います。
私としては、あくまで生前のご寄付と同様、その方が生前に浄土真宗やお寺に深い関わりを持たれていたことを表現するものとしてご遺族が希望されるものとお伝えしています。
両親が院号をもらっていたから、とか、夫婦で先に亡くなった方がもらっていたのでバランスを取るためにもう一人も、というわけではありません。

院号や法名について、私が付ける際はご本人の俗名(生前のお名前)やお人柄を考えて決めています。
俗名は関係ないのでは、と言われる方もいますが、その方のご両親が掛けられた願いが入っていると考えて、できるだけ尊重させていただいています。

先にも書きましたが、法名は仏弟子としての名乗りなので、生前のうちに帰敬式などを経て本山からいただいていただき、機会あるごとに自らに掛けられた願いとして法名をご確認いただきたいと思います。