名前や地名に込められた思い

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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私の住む地域の名前は「饗庭」と言います。
名前の由来を聞いたところによると、古来、近江や京に都がおかれていた時に東北からの使節団が日本海からやってきたときに饗宴の場を開いた場所だそうです。
大津京や京都に近いところまで使節団を招いて、万が一、そのまま攻め込まれると危ないので、少し離れた滋賀の北に場を設けたのだそうです。

滋賀は歴史の中心部に近かったこともあり意味が深い地名も多くあります。
大津に膳所というところがあります。
この近くで、食材の魚介類を採っていたことから膳のものを上げる所ということで膳所になったそうです。

先日のコラムにも書きましたが、最近は高田崇史さんの推理小説をよく読んでいます。
高田さんは日本の古来の歴史を踏まえて作品に反映されていて、地名の由来などもよく出て来ます。
小説なので、怨念や恨みを含んだ話が多く、地名もそうしたことの由来が多くあります。
高田さんは古代からの人達の恨みのこもった言葉を「呪(しゅ)」と表現されています。
恨みはマイナス方向に願いが込められた言葉と言えるかもしれません。
高田さんは和歌なども私たちが思っているような文芸ではなく、言葉の中に願いも恨みも込められており、しかもその思いが私たちが考えるより深いと言われます。

一方で、仏教のお念仏などは仏が衆生を救う願いが込められた言葉で、プラスの願いと言えるのではないでしょうか。
しかし、一般の方も僧侶もお念仏を道具として受け止めてしまい、そこにある「願い」について、あまり思いが至っていないのではないでしょうか。
これは私自身にも言えることです。

身近な名前や地名をスタートに今一度、そこに込められたプラスもマイナスも含めて思いや願いを感じていきたいと思います。