エラーやトラブルが起きても進んでいく覚悟

滋賀県高島市の住職系行政書士の吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
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御門徒の方が亡くなると過去帳への記録のためにお名前を改めて確認します。
その際に「日頃は簡略な字を使っていますが、本当は違うんです」などと言われることがしばしばあります。

例えば斉藤さんの「斉」の字は異なるものがいっぱいあります。
メジャーな所では「斎藤」「斉藤」「齋藤」「齊藤」あたりでしょうか。
渡辺の「辺」の字も異なるものがいっぱいあります。
メジャーな所では「渡辺」「渡邊」「渡邉」あたりでしょうが、あるテレビの取材では58種類もあると言っていました。

こうした氏名に使われる独特の漢字が行政のデジタル化の推進の障害になっているという記事があります。
一方では、記事中ではそれぞれの字に家族の歴史や思い、名付けた親の思いがある、とも書かれています。

行政側の今後のデジタル社会のために、漢字の数を絞って対応したいという気持ちもわかりますし、今名乗っている方の、表意文字である漢字の形を大事にしたいという気持ちもわかります。
しかし、どの気持ちも尊重しながら進めていくことはもはや難しいでしょう。
国として、優先すべきなのがデジタル社会なのか、歴史や思いなのかを決断して、デジタル社会である場合には、批判・反対・クレームなどが出ることも承知したうえで「えいやっ」とやるしかないと思います。

こうしたことは行政の戸籍や健康保険の全国システム標準化やガバメントクラウドにも通じる話と思います。
これまでは国から仕様の基礎が出されて、各市町村それぞれでシステム構築をしていました。
そして、戸籍や保険や税などそれぞれのシステムは関連と連携をしながら使う必要があるので、先行して入っているシステムとのカスタマイズが必要となります。
各システムの導入時期もバラバラですし、国の制度改正ごとに大きなカスタマイズも入れているので、なかなか一斉に更新とはいきません。

これを国が全てのシステムの仕様を固めて連携させて、各市町村がそれを入れることで経費の削減を図ろうとしています。
コメンテーターのひろゆきがよく言っている話です。
今は実際に先行実施した自治体があるようですが、想定外の費用や実施のための技術者の確保が困難になるなどの問題が起きています。

結局のところ、この標準化にしても、いざやってみれば、先行実施の団体の例のとおり、実施当初のイニシャルコストが想定以上に膨らんだり、エラーやトラブルが起きて業務が中断したり証明書が発行できないなどの問題が起きるでしょう。
それでも何かが起きたときは「国の責任です」と言って「えいやっ」とできるかどうかでしょう。
当初に問題が起きても、実施することでランニングコストの面で経費を下げていったり、国の制度改正に合わせた変更もスムーズにできるようにしていく。
行政に無謬性を求めていけばとてもできないことですが、失敗やトラブルがあっても何とか進めていくのだ、という覚悟が問われている気がします。